いたずら電話・迷惑電話対策について考える
事業を営んでいると、ちょっとしたトラブルによって、いたずら電話をされたり、迷惑電話をされることもあり得ます。
私の経験上では、料金の未払いのクライアントに対して繰り返し請求を行っていたところ、相手方の事務所、電話など、すべての連絡先が断たれてしまい、やむを得ず、弊社規定によりサービスの停止を行いました。すると、その日から、事務所の電話へのいたずら電話(無言電話)と、私の携帯電話へのいたずら電話(無言電話)が昼夜無関係に一日30件以上来るようになりました。
業務上、電話を取らない訳にもいかないので、対応はするのですが、ほとんどが無言電話。。。まったく仕事になりませんでした。
このように、事業を営んでいると、相手の逆恨みや意見の食い違いなど、小さなことが原因でトラブルになることもあります。それでは、今回のように、いたずら電話にはどのような対策が有効なのか考えてみましょう。
ナンバーディスプレイによる対策
電話会社が行っているサービスにナンバーディスプレイというサービスがあります。ナンバーディスプレイとは「電話をかけてきた相手の電話番号を表示してくれる」サービスです。とてもメジャーなサービスで、一般家庭でも多く利用されているサービスなので、この程度の説明だけで十分だと思います。
必要なものは、電話会社へのナンバーディスプレイサービスのお申し込みと、ナンバーディスプレイに対応した電話機だけです。
非通知からの着信を拒否する
ナンバーディスプレイを利用すれば、相手の電話番号が分かります。しかし、いたずら電話をしてくる人は、非通知設定をしていることが多いため、番号が表示されません。が、もちろん、非通知設定している場合は「非通知」と表示されます。特別に何らかの理由がない場合は、会社が非通知で連絡してくることはまずありません。ということは、非通知からの着信を拒否するように電話機で設定してやれば、これだけでもいたずら電話の大半は対処することができます。
非通知着信拒否を設定していて、非通知でかかってきた場合は、実際には着信しているのですが、着信音が鳴りません。私の場合は、携帯電話にも同様ないたずら電話があったので、携帯電話でも非通知着信拒否を設定しました。
迷惑電話おことわりサービスによる対策
非通知の場合の対策はできました。じゃあ、非通知以外ではなく番号通知でいたずら電話が来る場合はどうしようもないの!?という場合も想定できます。
その場合は、NTTが提供している迷惑電話おことわりサービスというものを使ってみましょう。
このサービスは、ナンバーディスプレイと異なり、電話機の端末側の機能は必要ありません。迷惑電話からの電話がかかってこない機能をネットワーク側に持たせているサービスです。
しかし、弱点は、相手の電話番号を知っている必要があるということです。
番号が登録できれば、「こちらは、×××-×××-××××です。この電話はお受けできません。」と自動的にメッセージで応答させることができます。また、着信音もなることはありません。
料金は、6宛先タイプで毎月600円、7宛先タイプで毎月700円、工事費は共通で2,000円必要になります。
いたずら電話があったらメモに書き残しておく
それでも、いたずら電話がやまない場合は、
日にち、時間、どんないたずら電話なのか(無言電話、脅迫電話等)をしっかり書き残しておきましょう。着信履歴が残る電話であっても、数百件という回数になると全てを残すことができません。後々の証拠を残しておかないと、たとえ警察に届け出た場合でも、証拠不十分になる場合が多いようです。
また、そのいたずら電話により、自分がどのような害を受けているのか(業務中にお客様への対応ができくなった、ストレスにより体調を崩した等)も書き残しておけば相手と争うことになった場合、有利になる場合もあることを覚えておきましょう。
いたずら電話、迷惑電話に対する法律の解釈
悪質な迷惑電話であると判断された場合は、犯人の特定調査に警察も動いてくれます。(上記のメモ等を活用しましょう)その際に、悪質な迷惑電話はどのような罪が適用になるのかを覚えておきましょう。逆をいうと、それに当てはまらなければ法で取り締まることはできません。
悪質な迷惑電話を取締るものには、次の3つの法律が関係します。
傷害罪(刑法204条)
傷害罪とは、他人の身体に対して生理的機能を毀損した場合に成立しうる罪です。無言電話等の場合であれば、ストレスで耳が痛くなる、恐怖で体が震える、平常時の精神状態を保てなくなる等の症状があれば適用になりえます。(身体だけでなく、精神的なものも含まれます。)
しかし、実際に無言電話の相手を傷害罪で起訴する場合は、医師の診断書等、生理的機能の毀損を客観的に証明できるものが必要になることを覚えておきましょう。
傷害罪(刑法204条)
人の身体を傷害した者は、10年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
業務妨害罪(刑法233条)
業務妨害罪とは、業務が妨害された場合に成立しうる罪です。無言電話等によって本来のお客様への対応ができなくなったり、お客様からの受注がとれなくなったりという事実があれば適用になりえます。(業種業態により異なるので、「迷惑電話により本来の仕事ができなくなった」と考えれば良いかと思います)
なお、業務妨害罪が成立するためには、かけた者に業務を妨害しようとする意思があったということが必要になります。
信用毀損及び業務妨害罪(刑法233条)
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
脅迫罪(刑法222条)
脅迫罪は、他人に対し害を加える内容を告知して脅迫した場合に成立しうる罪です。電話先で、「どうなっても知らないぞ!」や「殺してやるぞ!」など相手を脅迫すれば適用になりえます。
また、直接「殺すぞ!」などと言われずとも、無言電話を何度も繰り返し行われれば、自分は何かされるのではないだろうかと恐怖感を持つのが普通です。この場合も脅迫罪となる場合もあります。
脅迫罪(刑法222条)
生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
また、親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、同様とする。
まずは誰かに相談してみる
説明したように、単にいたずら電話と言えども法律で罰せられる犯罪行為です。悪質だと思った場合は、まずは、友人や家族に、それでも解決されない場合は、警察に相談してみましょう。
一番の対策は相手にしないこと
いたずら電話をしてくる人は動機はなんであれ、相手の「反応」を楽しんでいます。あなたがイライラして電話に出れば相手の思うツボでしょうし、恐がっている反応を見ればそれを楽しみます。
いずれにしても、いたずら電話をしている人にとっては「無視されること」が一番つらいことなのです。
しかしながら、個人事業(自営業)の方であれば、いたずら電話などによって直接的に業務に支障をきたしてしまいます。一般家庭へのいたずら電話と最も異なるのはその点です。警察は一般家庭へのいたずら電話については、「何も被害を被ってないので」の一辺倒で言われることも多いようですが(精神的ダメージ等を医者に診断してもらえれば対応は変わってくる)、自営業へのいたずら電話は、業務に直接被害が出るという理由から話をしっかりと聞いてもらえる可能性が高いと言えます。もちろん、「業務を妨害されているはっきりとした理由」が必要にはなりますが、「不眠症になり業務を行うことが体力的に難しい、業務中にもいたずら電話が大量にあり、お客様との連絡・受注に支障をきたしている」などの理由があれば、少なくとも話だけは聞いてくれるでしょう。
事業 トラブル いたずら電話 の関連記事
コメント
コメントする
次項 【確定申告】社会保険料控除を受ける【添付書類】
前項 【パート】共働きの注意点!【税金】
▲個人事業主・独立開業トップへ